モルジブ通信

Monday, June 18, 2001

モルジブ通信 1

こんにちは。

ご無沙汰している人もいるかと思いますが、みなさん元気でいらっしゃいますか。

私はいまモルジブにいます。NYでやっていた学生生活も一年が終わり、いま夏休み中で、単位の一環のインターンってヤツをモルジブのUNDP(国連開発計画)でやってます。

モルジブって、日本でのイメージはワンアイランドワンリゾートのゴージャスディスティネーションとして有名ですが、国としてローカルの生活のホントの素顔は意外に知られていません。モルジブは、ホントはGDP一人当たり1000ドル(12万円くらい)もいかない、UNDPの援助が入るくらい貧しい国なんです。
ということで、三ヶ月もいるこの機会を利用して、モルジブのリゾートじゃないもうひとつのカオを一週間に一回くらい紹介していきたいと思います。リクエストもあったしね。

前に普段メールで送った話とかぶる人もいるかも知れませんが、まあ、聞いてやってください。
私の勝手な一方的な情報発信なのでお返事とか、わざわざくれなくていいです。迷惑だと思う人はお知らせ下さい。。。。 

ではまずは基本的な情報から。

気温とか気候とか、そういうことはガイドブックに載っているし、きっとここに書くと梅雨真っ最中の人はうらやましくなっちゃうと思うので、そういうんじゃない、UNDPで働いている人らしい情報にします。

モルジブはインド洋に浮かぶ赤道を挟む南北にのびる環礁地形の国です。環礁(ATOLL)は全部で26あり、それぞれの環礁あわせて1200くらいの島々があります。そのうち人が住んでいるのは、200島くらい。その点々とした島々という国の地形がモルジブの社会問題を特徴あるものにしてもいます。
人口は250,000人くらい。そのうち70,000人が首都のマーレに住んでいます(ホントはその倍いるといわれていますが)。マーレは歩いて一周30分位の島なので、そんなところに7万人だか14万人だか住んでるので、そりゃもうギュウギュウ度具合がすごいわけです。一軒の家に20人くらい住んでいることはしょっちゅうです。マーレの人口集中具合はやっぱり社会問題になっていて、なぜ人口集中が起きるのか、それに対してどういう対策をとろうとしているのか、などは、のちのちのモルジブ通信でカバーします。

政治形態はrepublic。まず大統領がいて、あとはATOLL(環礁)ごとにチーフ(代表)が各環礁ごと2名ずついて、計42人プラス、elected official 8人, president指名 2人 のマジリと呼ばれているひとたちで議会が構成されてます。マジリ、というのはCongressとかSenateとかの意味のようです。 モルジブはムスリム(イスラム教が国教)スンニ派の国です。最近の若い子はそうでもありませんが、やっぱり女の人はカオに布を巻いた人が多いです。かなり宗教が政治の考え方の中心にあるし、生活の中心でもあります。モルジブ人はみんな一日五回お祈りします。朝イチは4時半くらいから。村放送用のスピーカーでがんがんお祈りを流すので、私がモルジブに疲れはてて着いたばっかりの次の日の朝はびっくりしました。朝四時半に。

ムスリムは女に人格を持たせない(ことが多い)宗教なので、女性自立問題的にもいろいろ社会問題があるし、男女交際にも厳しい宗教なのでそれはそれでいろいろ社会問題があったりして。それらについてものちのちでカバーします。

それでもモルジブは他のムスリムの国に比べると、かなりリベラルらしく、サウジアラビアのように外国人の女に布巻かせたりしないし、お祈りの時にはモスクに必ず行く、とかしないくてもいいし、女性の教育機会は均等だし、最近の若い女の子ではけっこう露出の高い服(ムスリムにしては)も着てたりしてるし、女性の社会進出もだんだんでてきているので、これからもっと社会的ノームがゆるやかになってきたときに、どう宗教とのつじつまをあわせるのか、みものだな、と思います。

どんどんリベラル志向になってきた主な理由としては、ツーリズムの発展で異国文化との交流機会が増えたのと、自国で生産できるものがあまりないので物資の供給はほとんど輸入に頼っているため他国に対して開かれた環境であるのと、と二つがあります。やっぱり人間、いいものをみると欲しくなるわけで、布かぶらないでもっと軽快な洋服を着たくなったりするわけです。
とはいっても、一応政府的にはなるべくローカルが外国文化と触れすぎて刺激を受けてしまわないようにという気持ちがあるらしく、ローカルがリゾートに泊まったり、外国人が許可なくリゾート以外の島にすることを禁じています。

お酒はとうぜん禁止で、ふつうはリゾート以外では手に入りません(外国人は免許制で買ってもいいパスをもっているひとだけ買える)。以前、リゾートで外国人が酒を手に入れてローカルに流していたのがみつかって、刑務所送りになったこともあったそうです。

また、モルジブ人は勤勉です。私がここに来る前までは、どうせ南の島モードだろう、と思っていたら、とんでもない、みんなよく働く働く。勉強熱心だしね。でももしかしたらそれはマーレにいるモルジブ人だけで、他のATOLLの離れた島々に住んでいる人は違うのかも知れません。よくdisparityといって、要は、収入の差が、マーレとATOLLとあまりにかけはなれすぎている、ということがまた社会問題のひとつとなっています。これについてものちのち語ります。

私のオフィスはマーレにあって、私が住んでいるところはビリンギリという島でマーレの隣の島です。まあ、ビリンギリはマーレに仕事を持っていて比較的裕福な人たちが住んでいる島なのと、マーレ自身がホントのモルジブの貧困とからは少し離れたポジションにいるので、私のオブザベーションはときどき現実とは違うものになってしまうかも知れませんが、なるべく客観データをもとにいろいろ語りたいと思います。

ということで、最初の回はこんなカンジです。

また、メールします。


n

0 Comments:

Post a Comment

<< Home